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神慶太の短篇「気体」

 田舎の家には白い椿が咲いていた。
 まだ若い低い木で、どこからか種が飛んできて生えたもの。

 寒くて、灯油ストーブを炊くが、しだいに暖かくなり、花も、紅白の梅からハクレンへ。

 ハクレンの大木は風の吹いた朝、すっかり散り落ち、若葉が一日3㎝ずつ伸びる
のに驚かされる。

 秋に来て、小窓のガラスをしきりに突いた小鳥は来ない。やっぱり渡り鳥だったらしく、
とうとう一度も訪ねてくれなかった。


 懸硯と呼ばれていた船箪笥(父が生家から持ち出してきた唯一の古物)をのぞいて
いたら、中野重治氏の、「黒島傳治文学碑設立準備会」宛ての封書が出てきた。
 活力溢れる骨太の表書きが魅力的だけれど、封書なので中身を読むのは遠慮
する。


 色川武大の『私の旧約聖書』などたくさん。漱石の「硝子戸の中」や「私の個人主義」
なども、再再読。

 
 帰宅後、モンキー ビジネス最終号をひらいて、神慶太の短篇「気体」を読む。
これがなんとも面白い。1981年生まれの精神科医。若いのにどうしてこのような
いい文章が書けるのか…。

 シュールでユーモラスな表現! さすが、柴田元幸の編集だけある。 
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柴田元幸責任編集「モンキービジネス」の最終号より

 「トム・ソーヤー」はじめ、つぎつぎ読んでいく。

 ニコルソン・ベイカー「K590」はとても良かった!
ひとつの場面で、弦楽四重奏の練習風景が展開していく。
センスの良さ、音が聞こえてくるような描写と会話。
すばらしい。

 ホーソーンの「ウェイクフィールド」は、これまた不思議な世界。
夫がいなくなり、数十年後に帰ってくる話は、フランスにもあるし、
菊池寛の「父帰る」もあるが、この作品にはおよそ情念というものがない。
さらさらさらり…。知的な描写。

 
 さて、明日から京都→小豆島なので準備です。
 京都では少年少女時代の友だちが数人、『ラプンツェルや』の出版を祝って
集まってくれるそう。
 数十年ぶりの人ばかり、顔がわかりますよう…。
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柴田元幸責任編集「モンキービジネス」最終号

 ご近所に木造の家が建ち始めている。
 トトトトいう、木を叩く心地よい音。トトトタタ トトトタト!

 20‎11年秋に出た柴田元幸責任編集「モンキービジネス」の最終号。
柴田訳「トム・ソーヤーの冒険」!が半分を占める。

 でも、「もしもし」のニコルソン・ベイカー、「K590」から読むことに。

 それにしても最終号とは…。

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絲山秋子 『ラジ&ピース 』、 『妻の超然 』、 『不愉快な本の続編 』

 『ラジ&ピース 』は、痛快さもある報告小説。

  『妻の超然 』には三篇入っている。この場合の〝妻〟さん。まあ、いろいろな
妻がいるだろう。小田原ガイドの感じもある。
 「作家の超然」はさすがにシリアス。断固としたモノ書きの姿に感動。


『不愉快な本の続編 』では、こういう表現がとてもいい。→「ボクは卒塔婆
さながらに墓の裏に斜めに突き刺さって、街を見下ろしていた。」

 ここでも、ご当地〇〇ふうな案内と薀蓄披露が少々耳に付く。

 ところで、「昔は富山の人はよそ者のこと『たびの人』って言ったんだよ」という
くだりがあるが、それで思い出したのは自分の田舎のこと。島では昔昔、よそから
働きに来た人たちのことを陰でコジキといったのだそうで、これはつまり、田畑や
家を持たない人、という意味だったのだそう。

 もちろん、県立醤油試験場の〝場長氏〟といった人の場合は、たとえ東京
からやって来てても、地位名誉がものをいうから〝ジョウチョウさん〟〝ジョウ
チョウさん〟と呼んだらしい。



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円城塔の「祖母の記録」

  師走より、一年越しで書いている。

  人物は三十前後の三人。


  柴田元幸編集『短篇集』の、円城塔の「祖母の記録」がよかった。
  しなやかな言葉使い、シュールな場面のつながり。

  この本、著者の一人に、同郷のご両親のお嬢さん(だという)柴崎友香さんが
入っているので、それにもちろん、編者が柴田元幸氏なので、図書館で借りてみた。
  →転居のあたふたにまぎれて紛失。→取り寄せて読む、というしだい。




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迎春

本年も
どうかよろしく
お願い申し上げます。

暮れより延々の転居中。
住所も同じ別の家なので、
楽なような厳しいような。



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歩かない日々

 パソコンに向かっているとついつい時間が経っている。

 せめて、一日30分は上り下りの路を歩こうと。

 今日は、50分ほど!

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喉風邪

熱の出ないかるい喉風邪だと思っていたら長引いて、帰省がのびのびに。

本日、横浜から夜行バスでやっと始動。
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『灯台守の話』

  イギリスの作家ジャネット・ウインターソンJeanette Wintersonの『灯台守の話』
岸本佐知子訳白水社、を借りてきて読み始める。面白くてやめられない。.

  書き出しは「母さんはわたしをシルバーと名づけた。わたしの体は銀と海賊でできて
いる。」

  『オレンジだけが果物じゃない』Oranges Are Not the Only Fruit, 1985年 岸本佐知子訳
(国書刊行会) を読んでファンになった。

http://www.jeanettewinterson.com/

ホームページはめったに見てません。
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草間彌生&神楽坂

 東京へはめったに出ないが、きのうは早足で歩きまわった。
 草間彌生作品はニューヨークのMoMAで数点、昨年の瀬戸内海・直島の巨大パンプキン二つと、
今回のみ。60年代の会場はせまい空間の3階ぶんを使用。午後4時すぎ、若い子たちが数人いる。
 彼女の自伝『無限の網』(作品社)からの引文用が案内役。壁いっぱいに大きな作品がかかって
いるのもなかなか。
 写真で知っているものも多いが、小船いっぱいのさなぎのような真っ白オブジェと、腰かけている
ご本人らしき裸の背中、が良かった。〝〟60年代の草間のアートに着目したもの〟だそうで、裸の
アーティストたちがいっぱいの出てくる映像も複数写されていて、映像だからかほほえましい。

 その後、地下鉄で神楽坂へ。南北線B3出口を上がると「ぺこちゃん」の脇に出た。
 先月25日には二十歳の頃の同級生とJRのほうで待ち合わせて、坂の途中で昼食。きのうは歌の
人たち二人と鶏鍋を。
 矢来町にはずっと以前、小説が縁で知り合ったご夫婦が住んでらして、ときどき泊めてもらっていた。
お子さんも成長し、ご夫婦も越されてしまい、神楽坂はいつのまにかフランス料理店目白押しの街
になっている。
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コンサート二つ

 9月、市内でザルツブルクのモーツァルテウム管弦楽団Das Mozarteum
Orchester Salzburgのモーツアルトを聴いた。
 さすがに躍動感いっぱいの演奏に、満席の客のからだがリズムを刻んでいる
ように見えた。
 それにしても交響曲40番、あの美しい出だしの一楽章と、三楽章が同じ曲
とはどうしても思えない。 

 昨日は、同じ会場の似たような席でブルックナーのシンフォニー1番を聴いた。
演奏はN響で、鎌倉市まで来てくれたのだ。
 たぶん、東京までは行きにくい老婦人たちも、杖をつきつき3階席まで登って
いく。年寄りの多い町なのにここにはエレベーターがない。

 指揮は井上義道氏、コンサートマスターは篠崎史紀氏。
 四楽章あるなかの第二楽章が、捉えどころのなく、謎かけのように思えて頭に
残る。作曲家の意図などまったくわからない。こちらの想像力不足なのだろう。



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Siri Hustvedt『目かくし』 斎藤 英治 訳

  『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』のインタビューCDを聞き
ながら、シリ・ハストヴェットの連作長篇『目かくし』を読む。
 著者の声を聞きながら、読むというのはめったにないこと!

 たまに描写が念入り過ぎて疲れるところもあるが、 P63の, 自分の写真を見せ
られるところが面白い。

「それは全身の写真ではなかった。胸から下が切る取られており、伸ばした腕も
肘のところで切断されていた。…顔全体は、一つには照明が薄暗いためだが、同時に
馬鹿げた表情を浮かべているために、明瞭さを欠いている。…わたしはこんな顔じゃ
ない、と思った。」
そして、「見なれない柔らかな表情に変わっていた」恋人は、「ゆっくりと首を上下に
振った。」
彼は「実に素晴らしいよ」と言い、その後写真は物議を醸すことになる。

P232で、<わたし>が「ラプンツェル」の物語のラストを思い出す場面が出てきてた
のには驚いた! 

でも白水社の本なのに、四分の三読んで三つも誤植に出会ったのは残念。


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感受性とやさしさ

 中学時代の英語のM先生から、今度は詳しい読後感を頂いた。
 二十歳で赴任されたとき、先生は、おとなの世界を見聞きして、私の町の
女性たちの強くたくましいことに驚いた、とも書かれてある。
 東京の短大を出たばかりの先生は、少女の私から見れば、おしゃれで闊達で、
知的な都会の女性だった。

 二通の手紙をもらって、先生の情熱は今も変わらないあふれる感受性にある
ことを改めて思った。創作や評伝もされながら、一貫して先生業をなさっている
のももっともで、国内外で出会った人たち、景色、出来事に向ける感性には惜し
みない新鮮なやさしさがある。

 この秋はお会いできるかもしれないと思うと、気持ちが弾みます。

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作家の〝夫〟

 鎌倉で生まれ育ったという、渋澤龍彦氏夫人からもお葉書をいただいた。
「美しいご本で、「選定図書」にも選ばれた由、おめでとうございます。……早速、
『ラプンツェルや、ラプンツェル』を読ませていただきました。……、作家の〝夫〟も
大変だなと思いました。…」

 澁澤夫人に比べれば、四年足らずの結婚なので苦労ともいえない私であるし、
相手がまた、作家といっても卵のようなものだった前田隆之介なのだから、これまた
恐縮してしまいます。
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読後感

 亡夫の中学時代からの仲良し藤原正彦氏が、『ラプンツェルや、ラプンツェル』の、
「〝告別〟が目に止まり、……小学校で母親(*小1で父親も)を亡くして以来ずっと
淋しそうな面影を宿していた彼が、最期にこんな苦しみまで味わう なんて、……
一気に読みましたから筆力も確かなものと思いました」と 書いてきてくれた。

 藤原さんとは、彼の父上新田次郎氏とわたしの子どもたちがうすい血縁 関係でもあり、
ラジオで耳にしたりするたびに、なんとなく親しみを 感じている。

 「退職後のほうがずっとと忙しくなってしまって」いるそうなのに、恐縮です。
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中学時代の恩師から

 中学時代、ご近所に下宿されていた才気煥発、魅力的な英語の先生から長い
手紙をいただいた。
 彼女は、短大の教師もし、小説も書き、「潮賞」など取られている。
 最近は絵本作家ヴァージニア・リー・バートンについてのことばかり書いてらっしゃる
そうで、抜き刷りも同封してくださった。

 じつは数年前、たぶん、古いご住所に出した賀状が戻ってきてしまい、勝手なもので、
こちらが迷子になってしまった気がして、そのままお便りも差し上げずにいた。
 で、今回、思い切って別のご住所にDMをお送りしてみると、すぐさまお返事をくださっ
たというしだい。

 二、三日ちゅうに時間がたっぷりできるようになるので、バートンのこと、じっくり
読ませてもらいましょう。
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第2878回「選定図書速報」の№136

 作品社より、第2878回「選定図書速報」という刷り物が送られてきた。ただし、p10のみ。

 これは日本図書館協会がやっている図書館向けのおススメ本リストのようで、136番目に
我が『ラプンツェルや、ラプンツェル』が載っている!

ssssrapunのコピー.jpg

 もちろん初めてのことなのであたりを見まわすと、№138に瀬戸内寂聴『生ききる。』が。
№140に阿部和重『和子の部屋』、№141に石原慎太郎『新・堕落論』が並んでいる。


 売れ行きにじゅうぶん反映される!、とは、出版畑の友人の言。
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お葉書たくさん

 『ラプンツェルや、』の短篇をいくつか読んでくれ、お葉書までくださる方が何人も。
 半分の5篇は発表ずみなので、再読してくれた方もいて、二回分の感想を書いてくれて
いたりする。

 沖潤子さんのカバーの「作品」をほめてくれる方は多くて、でも残念ながらこの小品には
もう会えない。
 先日の、潤子さんの個展で人手に渡ってしまったのです。
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納涼会

 土曜日、地元ペンクラブの納涼会が。

 二年ぶりにお邪魔して、知人や役員の方々に『ラプンツェルや、ラプンツェル』のダイレクト
メールを差し出す。

 残念なことに、友人の参加はなく、みんなどこ行ってしまったの?


 でも、会場近くの〝たらば書房〟で買って読んでくれてる方もいた!

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『ラプンツェルや、ラプンツェル』の評判

 京都でも妹の知人・友人がたくさん読んでくれているよう。
 ↓

 〝ロシア語の先生42歳女性は、「小説家の文章は3Dだと」。〟

そして、〝いたく感動した〟とのこと。


 ロシアカフェをやってる若い女性は、
〝ドキドキしながら読んで〟、
すっかり読み終わったのだそう!


 この本なぜか、PRは男性たちによって、読み手は女性の方が
圧倒的に多い気がします。



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